横井久美子 東京新聞「本音のコラム」 2001年11月6日 |
決着はこれからだ このところ、毎朝、新聞やテレビを見るたびに、ため息が出る。人の命を奪い、奪われて幸せを感じる人はいないはずなのに、人間はなんとおろかな生き物だろうと胸がつぶれる想いだ。 アフガニスタンでは、罪もない人々が空爆で傷つき、殺され、アメリカでも、一般市民に炭疽症の被害が広がり、日本でも、あれよあれよという間に、自衛隊の海外派遣が決まってしまった。 小泉首相は、この自衛隊参戦法に「テロ対策特別措置法」という看板をかけた。そして、国会の法案審議では、憲法違反を突かれて答弁にいきづまると「テロを防ぐのがどうして悪いんだ」と、大声を出した。 しかし、こうした乱暴なやり方で、テロがなくせるはずがない。一年後、いやもっと早く、自衛隊がインド洋まで出かけても、テロを防ぐことができないことが、必ず国民の前に明らかになる。 この法律が成立した翌日、文化功労者に選ばれた指揮者の小澤征爾氏がテレビで話すのを見た。小澤氏は、「自分が世界を変える気概を持て。諦めてはいけない。世界に対しても、自分に対しても」と語っていた。その言葉に、私も励まされた。 諦めてはいけないのだ。私たちは、小泉首相が、何と言って法案を提出したか忘れずに覚えておこう。この法律の決着はまだついていない。 横井久美子 |
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