横井久美子 東京新聞「本音のコラム」 2001年12月11日 |
ハーグ最終判決 (12月11日) 仕事でアイルランドへ行く途中、今月三日、四日に開かれた「女性国際戦犯法廷最終判決」を傍聴するためオランダに立ち寄った。 開廷に先立って代表が「十年前、一人の韓国女性が、沈黙を破って名乗りをあげてから、国際正義の象徴である都市ハーグで判決を迎えるまでに十年かかりました」と挨拶。壇上には主催十カ国から十一人の被害女性と検事団が左右に並ぶ。中央の四人の判事が、四五◯ページもの判決文を読み上げた。 「日本軍の慰安婦制度は、日本軍によって決定された政策であった」「強姦は戦争犯罪の一つで裁かれなくてはならない」「昭和天皇を含む軍人十人は有罪である」「人道に対する罪に時効はない」 判決は、東京裁判がさけてきた昭和天皇の戦争責任にもふれ、日本国家を断罪した。 最後に、判決文が被害女性一人一人に裁判長から手渡されると、傍聴席は総立ちになった。歴史の闇に葬り去られようとした真実を明らかにしたこの勇気ある女性たち。傍聴席にむかって高く判決文をかかげながらも目には涙が光っていた。 この判決は、BBCはじめ各国のメディアによって、すぐ世界中に伝えられた。しかし、帰国して新聞をみると、日本ではほとんど報道されていない。皇室やサッチー報道にはあんなに熱心な日本のマスメディアが、なぜこのハーグ判決を取り上げないのか。 横井久美子 |
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