横井久美子 東京新聞「本音のコラム」 2002年1月29日
涙は女の武器?

 アフガニスタン復興支援会議のNGO参加問題で、鈴木宗男議員が圧力をかけたかけないという問題が二十八日、国会で論議された。真相はまだはっきりしない部分があるが、これまでの経過でどうも分らないのが小泉首相の態度。田中外相が記者団の前で涙ぐんだことに対し、首相は、「涙は女の最大の武器だからね」と言ったという。そうかな。涙は女の武器かな。最近は男もよく泣く。それに田中外務大臣はちょっと涙ぐんだだけで、涙を武器として使ったわけでもないでしょう。関係者らのあまりに汚い口裏合わせ?に、「口惜し涙」か「怒り涙」か、いずれにせよ不覚の涙をこぼしただけではありませんか。
 それより小泉首相は、「泣かれると男は太刀打ちできない」などと、この混乱の意味を低次元の問題にすりかえないでほしい。
 もともと今回の事件の本質は、NGOの出席を拒否した外務省の横暴にある。ことは外務省だけでなく、小泉内閣の基本的な政治姿勢に関わっている。しかも、自民党の国会議員が外務省に圧力をかけ、NGOを排除したのが事実なら、その自民党の総裁である小泉さんは、これまた無縁ではないでしょう。
 どちらがウソをついているとしても、内閣と自民党の両方のトップである小泉さんの責任は、二重に重大です。「女の涙」なんて言っている場合じゃあない。

横井久美子

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