横井久美子 東京新聞「本音のコラム」 2002年2月12日
ふたたび「女の涙」

 小泉首相の「涙は女の武器」発言から二週間たった。しかし、女性たちの怒りは、その後の女性大臣の答弁もあり、さらに広がっている。
 小泉首相は、二月四日の施政方針演説で「女性の新しい発想や多様な能力を活かす」などと述べた。しかし、「女の涙」発言については、反省もせずもう済んだことだと居直っているように見える。
 小泉首相は、女性たちの怒りの意味がよく分かっていないのではないか。
 これまで小泉首相は、ロックグループ X-JAPANの「フォーエバーラブ」を好んで歌い、自らがセレクトしたCDを出し、メールマガジンを発行したりと、いかにも今までの自民党の古い体質とは違うかのようなモダンなセンスをアピールしてきた。
 しかし、「女の涙」といえば、演歌の世界だ。いくらモダンさを装っていても、その女性に対する考え方は「すがる女に泣かれちゃ男は弱い」という一時代前の発想にほかならない。 
 小泉首相は、これまで「靖国神社に参拝して何が悪い」などと、憲法を踏みにじる時代錯誤の発言をくり返し続けてきた。「女の涙」発言は、こうした小泉首相の古い体質がついポロリと出たのではないのか。
 女性たちの怒りの意味、支持率低下の意味を甘くみてはならない。

横井久美子

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