横井久美子 東京新聞「本音のコラム」 2002年3月12日 |
アネッサクラブ 春が近い。各地の女性団体の集まりで歌う機会も多くなった。 そのなかでも、先日「雛まつりディナーショウ」で招かれた会津若松市の女性団体「アネッサクラブ」は、とてもユニークだった。「姉さま」をもじった商店街のおかみさんたちの集まりだ。会員は呉服店、仏具店、米屋、酒屋、漆器店、ろうそく店、瀬戸物店、履物店など、なんでもそろっている。 「アネッサ憲章」もあって、「私たちは、軒先のつらなる店先に、四季折々、会津の歴史や文化に彩られた『軒先ギャラリー』を展開し、居心地のいい街づくりを目指す」とある。 クラブが作成した一一五人の店主の似顔絵入り「軒先ガイドマップ」を手に、しっとりした街並を歩いてみる。幾店もの軒先に雛人形が飾ってある。「いすをどうぞ」「トイレをどうぞ」「お荷物をどうぞ」「お茶をどうぞ」など、店によって違う「どうぞサイン」が出ている。 この「街おこし」は、近隣の市町村からも注目され、その日も平泉から女性たちが見学に来ていた。 日本経済は、デフレ、リストラ、倒産など暗い話ばかり。不況は、地方の小都市をも直撃している。 「不況に負けてはいられなからね。まず女たちが手を繋がなくては!」。そのたおやかな逞しさと心意気。すっかり私も嬉しくなった。 横井久美子 |
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