Kumiko Report 2000 |
新しい千年(ミレニアム)が始まりました。2000年が私たちとってよい年になりますように! 昨年は、通路まで溢れる方々に、「帰国コンサート」を聴いて頂き、またアイルランドでのコンサートも成功裡に終わり、歌手として最高に幸せな年でした。 今年は1月に、音楽センターよりそライヴCDが発売され、昨年に引き続きアイルランドのツアー&コンサートも予定されています。 また昨年4月からは、東京中日新聞に毎週火曜日「本音のコラム」を執筆しています。 私は、昨年の留学生活から「学ぶ」ということに目覚め、今年から日本での演奏活動と併せて、リマリック大学で更に学ぶつもりで、しばらく日本とアイルランドを往復します。 今年もどうぞよろしくお願いします。 ご好評にお応えして今年もアイルランドツアーをします。 第2回 横井久美子と行くアイルランド私の愛した街 ツアー&コンサート 8月24日(木)〜9月1日(金)9日間 旅費398000円 今年も私の住むリマリック市にある聖メアリー大聖堂でのコンサートや、主都ダブリン、ゴルウェ−を訪れますが、一番の魅力はあの荒涼とした時の流れが止まっているようなアラン島に2泊できることです。御希望の方には旅程表などお送りします。 アラン島のアコーデイオン弾き 海面から200mの息をのむようなモハーの断崖 東京中日新聞 「本音のコラム」毎週火曜日に書いています アイルランドに滞在しているときは、リマリックから送ったりして、毎週書くのはとても大変です。 2000年1月4日は、お正月版でいつもの倍の長さだったのでの、大きなテーマに取り組みました。 「美しき水の惑星」東京新聞 2000.1.4 世界人口は2000年を待たずして、99年10月12日に60億人に達した。 新しい千年(ミレニアム)の幕があき、この地球に生を受けた60億人の多くの人々は、戦争や、貧困や不平等にさらされることなく、幸せで豊かに暮らしたいと願っている。60億の命を育んでいる青い地球をそのまま21世紀に引きつぎたいと願っている。 しかし、その願いを脅かす巨大なマグマが、地球上には存在している。核兵器とそれを保有している大国の思惑である。 現在、地球上には、広島型原爆にして75万個分の核兵器があり、すでに2000回以上の核実験がおこなわれたという。 「核兵器の存在が、人類の生存そのものを脅かしている」「国際社会は、未来永劫核兵器の維持が合法であるとみなされるまま第三の千年を迎えてはならない」 これは、98年6月、アイルランドなど非核8カ国の「新アジェンダ連合」が発表した核廃絶をめざす共同宣言の一節である。 99年10月の国連では、「新アジェンダ連合」が提案した核廃絶の共同提案国は、57カ国に広がった。しかし、この決議案に日本政府は、98年に続き棄権している。 「新アジェンダ連合」の誕生は、ニューヨークの国連本部に近いレストランで、たまたまアイルランド、南アフリカ、ニュージーランドの3人の外交官が昼食に集まったさいの議論が発端だと聞いている。「大国ペースに甘んじなで、中堅的な国を中心に、新たな動きをつくろう」と、話しが進み、アイルランドの外交官が、新提案の草案を書くことを引き受けたという。 アイルランドは人口366万人の小さな国である。もちろん核兵器や原子力発電所など持っていない。だがアイリッシュ海を挟んで対岸の英国にはサラフィールドがあり、ここには日本のプルサーマル計画で核燃料のデータねつ造が明らかになった核燃料会社(MOX)がある。セラフィールドから放出される放射性物質のため、アイルランドは世界一汚染されたアイリッシュ海を抱いている。 この国では原爆の悲惨さも良く知られていて、若い人は「ヒロシマ」「ナガサキ」について中学校の教科書や歴史の副教材で習ったという人が多い。 こうした核問題に関心の高い非核国だからこそアイルランドは「新アジェンダ連合」の中心的役割を果たしてきたのだろう。 しかし、この核廃絶に向けた非核中堅国の新しい動きも、アメリカをはじめとする核保有国を追い詰めるまでに至っていない。 それどころか、アメリカ議会は、CTB(包括的核実験禁止条約)の批准を否決し、全世界の核廃絶を願う人々を憤激させた。 しかし、「核兵器を合法化したまま、21世紀を迎えてはならない」という、草の根の非核パワーは、世界各国で確実に大きくなってきている。 99年5月には、ハーグ世界市民平和会議が、100カ国、700以上のNGO(非政府組織)の参加で開催され、核兵器廃絶など10項目の行動指針を決定した。また世界平和評議会は9月、パリで「活動計画2000」をまとめ、日本でおこなわれる2000年夏の原水禁世界大会を運動のクライマックとして取り組むことを決定している。 水の惑星といわれる美しい地球。この地球上に生きる60億のかけがえのないきらめく命。それを一瞬にして奪う核兵器。 核兵器をこの地球上から一掃し、安全な世界を21世紀の世代にわたすことは、20世紀に生をうけた私たちの責務ではないだろうか。横井久美子(シンガーソングライター) 次ぎは昨年、アイルランド滞在中に書いた原稿です。 「500万人の勝利者」東京新聞1999.12.14 ここ数週間アイルランド共和国に滞在している。 今月2日、北アイルランドに自治政府が発足した。英国の直接統治を受けていた北アイルランドは4半世紀ぶりに自治を回復したのだ。 日本では、アイルランドというと「IRAの過激派テロ」を思い浮かべる人が多い。しかし、アイルランド共和国で暮らしていると、そういう「テロ」とは別な時間が流れているかのように、毎日が穏やかに過ぎている。 しかしこの国では、毎日のメディアのトップニュースは、いつも「北アイルランド問題」である。 アイルランドは、1922年、英国の植民地から独立したが、北部六州を残したままだった。それ以来国民にとって「北アイルランド問題」は同じ民族の痛みとなった。 この歴史的な日、「アイリッシュタイムス」のトップは、北アイルランドのベルファ−ストの街の壁に描かれた巨大な文字「NEW LIFE」の前を、母と子が乳母車を押しているカラー写真を大きく掲載し、国民の喜びを報道した。 そしてこの日の同紙は、社説を「この物語には、500万人以上の勝利者がいる」と締めくくった。 「歴史的な日」を勝ち取ったのは、テレビや新聞に出る政治家だけではない。そこには和平を求め続けてきた500万人の全アイルランドの人々、それを注視してきた世界中の人々がいたのである。 民族問題は、南北朝鮮、中国と台湾、インドネシと東チモール、そして日本も含め、今なお私たちの住むアジアの問題でもある。 アイルランドの人たちのねばり強い長いたたかいは、地球の反対側のアジアで生きる私たちにとっても、決して無縁ではない。横井久美子(シンガーソングライター) 今年は、なるべく早くホームページを更新して、私の活動をお知らせしたいと思います。 それでは!! 2000年1月 |
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