Kumiko Report 11/18/2002
愛した人のなかに命は生き続ける

16日、私は、友人の故佐藤一晴さんの音楽追悼会「酒を愛し、音楽を愛し、人を愛した佐藤一晴さんを偲ぶ会」で歌った。
多彩な彼の活動歴を語るように、日本フィルを中心とした弦楽合奏やジャズ演奏の合間に、日本フィルの元委員長など、幾人の方たちが彼を偲ぶ話を。私は、「風の中のレクイエム」を歌った。東大仏文科卒、フランス語でシャンソンを歌うヨーロッパの町並みが似合う彼に、「旅芸人の記録」を観て創ったこの歌はぴったりだと思って、、。「涙はやめて拍手を送ろう」と。

最近、人が亡くなってもちっとも悲しくない。その人の笑顔とか言葉とか雰囲気とかがふっと現われる機会が多くて、亡くなったような気がしないから。以前は、「人は死んでしまえば終わり!」と思っていたから、人の死がひどく悲しかった。ある人の葬儀に号泣して歌えなかったこともあった。

今は、亡くなった人の魂が空に浮いていて、どういう時なのか定かではないけれど、ある瞬間スーっと私の心に入り込んでくるような気がする。特に、7年前に亡くなった私の父や昨年亡くなった櫛田ふきさんがよく現われる。きっと一番好きな人が現われるのだと思う。櫛田さんには、いまだに「人の振り見て、我が振りなおせよ」と、いわれている。

「死んでも人の心に生きている」ということは、素敵なことだ。でも、そんな風に人の心に蘇ることができるのは、やっぱりその人が、充分、人に「幸せ」を与えたからだと思う。愛した人の中にこそ、その人の命は生き続けるのだ。
だから、不幸せな思いを人に与えた人の魂は、決して、人の心なかに蘇れない。宙をさまよいっぱなしで、、。だから、私も、人にイヤな思いを残さないよう生きようと、秋の芝公園の歩道を歩きながら思った。

そして、私は、翌日の岐阜のコンサートのために、そのまま、名古屋に向かったのでした。
17日の岐阜の企画は、素晴らしかった!それについては、明日!

横井久美子

2002年11月18日

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