Kumiko Report 1/10/2003
精神科の診察室

先日、偶然、精神科に行き、診察室で先生の話を聞く機会があった。私の友人が最近、不安感に襲われ、体調まで悪くなり、職場に出られなくなったので、もう一人の友人と二人で付き添って。本人は、自分で症状が話せるので、一人で診察室に入り、しばらくして、私たち二人もどうぞ、と言われ、一緒に先生の話を聞いた。

先生の話を聞きながら十年前の自分を思い出した。私のバーンアウトの時は、精神科にかからず、アイルランドに出かけ、肉体を酷使し、自分の生命力を確信することで回復。でも、診察室で先生が友人に言われたことは、ひとつひとつ「そう、そう」と納得する言葉ばかりだった。

「なになにすべきだと自分を責めないこと」
「ぐずぐず日々を送っている時期があってもいいじゃないか」
「時には行動してみようかなと思ったり、時には逃げようと思ってもいいよ」
「人間そう立派に思い通りにいかないよ、心がぐちゃぐちゃ揺れるから、音楽や文学など芸術作品があるのだから」

私は、初めて精神科の診察室に入って、精神科がとても明るくオープンなのに感心。真面目で責任感の強い人ほど、心に痛手を受けやすく、自分を責めて追い込んでゆく。乾いた表面的な人間関係や職場の過密労働がそれに輪をかける。現在、日本では、人口の5パーセント、20人に1人がうつ状態にあると言われている。

問題が深刻になる前に、気軽にカウンセリングや精神科へ行くようにしたい。「ちょっとお休みぐずぐず期間」を自分に宣言して、たっぷり休養する。それでもダメなら、エイヤッと自分を取り巻く環境を変える。私もそうだったけれど、うつ状態になる人は、自分について過大評価や自己卑下を繰り返す。「これっきりの自分」という心の平安を得るのに私は10年近くかかった。人間の心の問題はとても難しい。でも、人間って自分の心持に素直になれば、いつかかならず薄皮を剥ぐように、ゆっくり、ゆっくり、その人本来の生命力が出てくるものだと、私は信じている。

先生に話した後の友人は、診察室に入る前に比べ、ずっと穏やかな表情をしていて嬉しかった。

明日は、コンサートのため名古屋に行き、その後、数日間滞在します。愛知県知事選に、30年来の友人の池住よしのりさんが出馬するので、応援してきます。愛知県在住の方、どうぞよろしく。

横井久美子
2003年1月10日

KumikoReport Index HOME