Kumiko Report 5/18/2003 |
文化がなくては戦えない 昨日、東京、星陵会館で「世界の平和とアジアの未来を考える」緊急集会が行われ私は、司会を担当した。 最初に、19歳の大学生赤尾邦和さんが、3月20日のイラク攻撃開始2日前に帰国したので、暗い悲しい話は出来ないけれど、とイラクの高校生50人から預かった「手紙」を紹介した。はじまる前に彼が、私に「つまらないことを聞きますが、話す時、この毛糸の帽子をかぶっていたら皆さんに失礼になるでしょうか」と聞いた。サッカーをするので、丸坊主にしてしまい恥ずかしいのだそうだ。「どちらでもいいと思いますよ」といったら、そのままの姿で、落ちつてバクダットでの若者たちの様子を伝えた。いいなぁ、こういう若者って。こうした集会に、気負わないで、自分の言葉で意志表示する若者は、私たちの国の宝物だ。 続いて、元国連大学副学長で国際政治学者の武者小路公秀氏の基調講演。「世界の平和とアジアの役割。司会進行準備であたふたしていて聞けなかった部分もあったが、有事法制「牛丼」論の話は面白かった。15日に有事法制が民主党の修正案で衆議院が通過してしまったが、先生は、「牛を殺さないでなぜ牛丼がつくれるのか」といわれたのだ。「この法案は、何匹牛を殺したら牛丼ができますとはっきりしないままで法案が通過した。牛丼をつくるのに、牛を殺さずに出来るはずはないのに、殺される牛のことはあいまいのままで、牛丼のおいしさばかりを言っている」と。会場からは、この国の事態に「悲鳴」にも似た発言があった。 続いて、喜納昌吉さんの登場。「アリラン」の熱唱のあと、「郡上一揆」の映画監督神山征二郎氏と武者小路氏を交え対談。喜納さんは、歌も素晴らしくなにより凄みがあった。私は、今まで辺見庸氏を日本で立った一人「スゴミのある男」と勝手に思ってきた。「スゴミのある男」とは、天下国家の非道を語り、知性と行動で果敢に挑んでいる怒れる人のことだ。これで私の「スゴミのある男列伝」は二人目になった。因みに「スゴミのある女」は、故松井やよりさん。 喜納さんの発言はとても発想がユニークで時には過激で、だから刺激的だ。 「太陽が東から昇るのではなく、地球が東に向かってお辞儀をしているのだ」「先住民を虐殺して今を築いた侵略者は、負の命、トラウマを背負っている。そのトラウマが戦争を起こさせる」「怒りがなくては平和にならない」「琉球独立論」などなど。武者小路氏は日本は連邦制にして沖縄に首都をと言い、喜納さんに断られたり、、。 何よりも、私は、喜納さんが、「『アリラン』を歌えば、韓国の人でも、北朝鮮の人でも涙を流す。歌は北も南もなく、人々を一つにする。だから『地球ファッシズム』をおさえるためには、一大文化運動を起こそう」と言われたことに感動。「その通り」と思った。 私たちに何ができるのか。私たち「ヤマトンチュー」らしい文化運動は何か、文化がなくては戦えない、と突きつけられ、考えさせられた豪華企画だった。 横井久美子 2003年5月18日 |
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