Kumiko Report 5/20/2003 |
牛丼の牛になりたくない 実は、昨日のH・Tさんのメールで辺見庸さんの言葉として 「横浜事件と言っても、知らない人が多いだろうが、治安維持法下で67000人以上がでっち上げで逮捕され、拷問を受けた。何人が殺されたか、はっきりした数字はない。4月15日、その再審開始が認められたが、検察は即時抗告した」というフレーズがあった。浅はかな私は、67000人という数を、横浜事件だけと勘違いし、「それにしても、こんなに多くはないでしょう。H・Tさんが、6,7000人と点を落としたのかもしれない」と、カットしたのです。 ところがファンサイト主宰のOIDEさんが調べてくれました。 ◆大原社研 第32表 治維法事犯捜査事件数および被疑者人員数 http://oohara.mt.tama.hosei.ac.jp/rn/senji2/table/120-32.html http://oohara.mt.tama.hosei.ac.jp/rn/senji2/rnsenji2-119.html ◆2002.7.21 資料 治安維持法による犠牲者(衆院予算委員会での不破哲三氏の総括質問、1976.1 月から) 逮捕者総数 数十万名 検事局に送検された者 75.681名 送検後死者数 1682名 逮捕され拷問で殺された者 65名 逮捕が原因で獄死した者 114名 逮捕の後病死などでの死者 1503名 http://www.marino.ne.jp/~rendaico/miyamotoron/miyamotoron_hosoku5.htm 政府発表で送検者は、75681名、逮捕者は数十万人。スゴイ逮捕者数。H・Tさん勝手に解釈してごめんなさい。 以下は大原社会問題研究所のデータの最初の部分です。 「戦時下日本のいっさいの政治的諸運動抑圧の法的中核となったのは治安維持法で あった。同法によって一九二八年以来検挙されたもの六万人、起訴されたもの六〇〇〇人(その九五%以上は左翼関係)と戦争直後発表されたが、「同法の近来の運用は赤化の防止という本来の目的から離れ、民衆の思想に対する強権的圧迫と人権蹂躙に悪用された傾向が極めて濃い」(朝日新聞、一九四五・一〇・一四)といわれたように、治維法はもともと天皇制と資本主義制度に反対する共産党の弾圧を直接の目的とする法律であったが、後には社会民主主義・自由主義・一切の反政府運動、さらにそれらの思想そのものに適用されていった」 有事法案の審議が昨日から参議院本会議ではじまっている。「修正」法案で基本的人権の尊重が明記されても、「国民を罰則付きで強制動員」する本質は変わらない。せっかく戦争が終わって、1945年10月15日廃止されたのに、有事法案が参議院を通過してしまったら戦前の治安維持法に逆戻りではないか。 私は、「牛丼」の牛にはなりたくない。でも、参議院で法案が通過したら、私は牛になってしまう。アイルランドの広い牧場でゆったり乳を搾られている牛や、ベトナムの水田を耕す牛でなく、牛丼の牛に。同じ牛なら、せめて人々の役に立つ牛に私はなりたい! きっと牛だってそう思っているよね。 横井久美子 2003年5月20日 |
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