Kumiko Report 10/2/2003 |
私が私になっていく 10日間もレポートを書かないと、皆さんにお会いしていないような気がしています。 いよいよ来年1月18日に出版の本が大詰めにきていてアタフタしている毎日です。 9月26日、立中修子さんの半生を書いた本「この扉は開けてみせる」の出版パーティがあってお祝いに行きました。立中さんは、「子どもを産んだ女は半人前」と、会社に解雇され、裁判を通してたたかい、みごと職場復帰を勝ち取ってきた人です。 立中裁判は、女性差別裁判の先陣をきり、いくつもの新聞社の女性記者が自らの問題として記事も書き、その後の男女差別裁判や運動に大きく道を開きました。立中さんが提訴した年1969年は、私が歌い始めた年と同じで、私は同じ女性としてずっと支援してきました。 特に忘れられないのは、裁判の時は小学生だった息子さんが結婚する時、「何かお祝いをしてあげる」と彼女が言ったら、息子さんが、「横井久美子さんに結婚式で歌って欲しい」と言われたことです。そんなに幼いながら母親の戦いを応援し、私の歌の存在を受け止めくれていたのかと、とても感激して、結婚式で歌ったことです。 立中さんのスゴイところは、裁判に勝利しても、その経験を戦う人々の中に返し、裁判、離婚、子どもの死など常人では考えられない苦労を乗り越え、更に自然体で美しく一歩一歩前に歩んでいることです。 会場には、増田れい子さんや、田中美智子さん、井上美代さんなどの姿もありました。 立中修子さんのドラマチックな素晴らしい本「この扉は開けてみせる」(ドメス出版2100円)のお申込は、横井事務所へどうぞ。この世にはこういう女もいるんだ!、右に右に倣えのこの時代に、たった一人でノー!と言った勇気ある女性の本。いい本ですよ。 9月28日、長野県同和教育推進協議会主催の「第27回研究大会」で、「世界を旅して、出会って、歌って35年」と題して大いに話し、歌いました。私は、人権がテーマということで、普段と少しちがうプログラムで、人権とは、まず私に問いを投げかけることではないかと「私の孤独」を歌い、私達の回りにはいろんな種類の差別が一杯あると「ノーモアスモンの歌」「飯場女のうた」「赤い椿と青いげんぼし」「アシンボナンガ」など歌いました。 また、近くの豊田村は「故郷」「紅葉」「春の小川」などの詩人、長野辰之の出身地で、会場の皆さんと一緒に歌って喜ばれました。 普段の横井久美子コンサートとは違うテーマで、男性も多く、「大会」ということでやや緊張しましたが、会場全体が食い入るように集中してくれ、また歌うときには地元の知られた童謡ということもあってか、良く歌いましたよーーーみなさん。終わると、「私の孤独」の入っているCDは?、「飯場女の歌」は?という具合にCDが売れたそうです。 最近、今までの新聞の執筆や本の出版など、自分のなかに蓄積したものが一杯あって、先のベトナムフェスティバルのような外国の大使館主催でも、日本の行政主催でも、戦っている裁判訴訟団主催でも、どんなところでも私を私らしく表現できるというようになっているような気がします。それは、今までの舞台経験に加え、文章を書くという深く考える作業がプラスしているのでしょう。 私が私を創って、私が私になっていく。 いい年代、いいお年頃になりました。 横井久美子 2003年10月2日 |
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