Kumiko Report 2/1/2004
心が痛む引きこもり・不登校

土曜日、事務所に電話がありました。ソング&エッセイ「歌って愛して」を、アクション111で買ってくださった女性の方で、「VIVA KUMIKO」をほしいと言われました。しばらくお話しましたが、長い間引きこもっていた息子さんが、彼女が買って帰った「歌って愛して」を読んだようで、本の最後に載っていたCD宣伝を見たのでしょうか「お母さん、この人の『VIVA KUMIKO』を買わないの?」といわれたのだそうです。母親のやっていることに興味を示さず、会話もあまりないのに、びっくりしたそうです。

私は、何が彼の興味をそそったのか分かりません。でも、「歌って愛して」は、一人の女性音楽家をいくつものフォーカスから捉えている本です。その音楽家像は、きっと彼の知識の範疇にはない音楽家と映ったのでしょう。そして、どんな声で、どんな歌を歌っているのかと興味がわいたのではないでしょうか。ソング&エッセイ「歌って愛して」がこういう形で読まれ、「VIVA KUMIKO」に繋がっていくことは、とても嬉しいことです。本とCDで「横井久美子」が分かってもらえると思っていますから。

その女性と話して、なんと現代は引きこもりや不登校が多いかと思いました。私の娘が中学生のころ、娘は、「私は、家にいてもお母さんはいないし、学校にいけば友達がいるから学校が好き。日曜日は、学校が休みだから嫌い。学校へきたくない子は、家で甘やかしてくれる人がいるからでしょ」と言っていました。私もそんなもんかなと思っていたのですが、私の子育ての時期は、ずいぶん昔です。

先日、神奈川のおやこ劇場のお母さんたちと交流しました。10人集まったなかで、3人から4人の人の子どもが不登校でした。どのお母さんも素晴らしい方たちで、ご自分のお子さんのことに胸を痛めて涙交じり部話されていました。私は、その現状を知って、これはもう親の育て方の問題ではない、社会問題だと愕然としたのです。

先日、テレビでこうした問題を論じる番組で、一人の女性カウンセラーが、言っていた言葉が心に残っています。
人とのコミュニケーションで人を納得させるのは、「顔の表情が55パーセント、声のトーンが38パーセント、言葉が7パーセント」という数字です。つまり、どんな立派なことを言っても、顔の表情や声の調子が無機質だったら、けして、人と人とは繋がれないということをこの数字は示しています。

ここにヒントはないでしょうか。ライブでも舞台でも、私たちが感動し、納得し、その人に心を寄せられるのは、言っている言葉だけなく、どう表現されているかということです。私は、このカウンセラーの発言を聞いていて、私がずっと思っていたことに確信を持ちましたし、また、これからの私の仕事の重大性を再確認したのです。
4月にはそういうお母さんたちと「子育て交流会」をすることにしました。その中で、お母さん方から学び、たくさんの現実と向かい合い、私も、自分の中で蓄積してきたものを出して交流したいとと思います。

昨日は、電話が終わっても、ずっと会ってもいないその青年のことが、心から離れない不思議な日でした。

横井久美子
2004年2月1日

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