Kumiko Report 2/20/2004
ベトナムツアー、鳥インフルエンザに屈す

まぁなんてことでしょう。3月23日〜のベトナムツアーは、鳥インフルエンザのために延期になりました。この鳥インフルエンザは人間にはなかなかうつらないし、現実たくさんの人がかの地で日常生活をしているし、かえって危険といわれている時の方が万全の対策も用心もするし、安全ではと思っていました。他のベトナムツアーが次々キャンセルになっても、我がツアーは単なる観光ツアーではないから大丈夫と思っていたのですが、さすが鳥の脅威には勝てませんでした。

でも、私は23日からベトナムにでかけます。平和村や友好村では、私のコンサートのために周りにチラシを配り、ハノイの文芸隊も参加する予定でした。そのご好意のお詫びをしながら平和村、友好村の子どもたちと交流してきます。また、全国の皆さんから寄せられたカンパもお渡ししてきます。何よりも、そんなに恐れらているベトナムの鳥インフルエンザの現場をこの目でみてきます。

1988年に北アイルランドのデリーに行きました。当時は、まだアイルランド共和国から北アイルランドへ入るのに、国境で銃をもった英国軍がバスまで入ってきてチェックをしていた時代でした。デリー市内でも銃をもった軍服姿の兵士が歩き、市民に銃をむけながら装甲車も走っていました。また、ニューヨークの冬は雪もふり異常に寒いのですが、本当にニューヨークが好きなら冬のニューヨークに来てといわれました。アイルランドも雨が多くて、なぜこんなに雨がふるのかと、ガイドさんが文句をいわれるそうです。

地下鉄サリン事件が起こった時、海外にいて何人もの人から日本は危険だから行きたくないと言われました。また、日本にいても東京は危ないから行かないと言う声も聞きました。東京に普通に暮らしている私にはそれが奇異に聞こえたし、そういう理由で、東京を嫌いになって欲しくないと思いました。

いろんな問題をごっちゃにして言っているのは承知ですが、どういう気候でも、どういう政治状況でも、どういう病原菌がいても、そういう中で人々が日常の暮らしを紡いでいます。確かに、高いお金を払って旅に出かけるには、その国の一番いいところを見て感じて楽しんで帰りたいと誰でも思うでしょう。でも、そういう「いいとこ取り」だけが旅だろうかと思います。いい景色を見て、豪華ホテルで、美味しいものを食べるのは、日本でもできるのです。私のイメージする旅は、日本にはないその国の風習や歴史や人々に触れることで、もう一度自分自身を、私たちの国を見つめなおすことです。外国に行くのは、外国を知るのではなく、自分を日本をもっとよく知るためです。

私がこうして5年に渡り、ツアー&コンサートをしているのは、もう一つ理由があります。それは、旅もコンサートとおなじで、最初は初めて会う参加者それぞれがぎこちなくても、最後は同じ時間と空間を共有する中で開放され、何とも言えない一体感が生まれ、それが中には、帰国後までずっと、私が介在しなくても持続していることです。なんという素晴らしい仕事をしているのだろうと私自身思います。

枯葉剤の被害については、私たちが草の根で支援することも大切ですが、アメリカに対しこの責任を取らせることが重要だと思ってきました。
そうしたなか、報道によると、1月30日に枯葉剤被害女性が、枯葉剤を製造した米国の各製薬会社に対し、ニューヨーク州のブルックリン連邦地方裁判所に、賠償を求める民事訴訟を起こしたということです。また、ベトナムも国として支援をすることをめざして、「ベトナム枯葉剤・ダイオキシン被害者の会」を結成し、あの1972年のパリ和平会談の時、颯爽とアオザイを着て交渉し、世界の注目をあつめたグエン・ティ・ビン前国家副主席が名誉会長になったそうです。

延期されたベトナムツアーは7月27日(火)から8月3日(火)まで。コースは3月のコースと同じです。7月には、関空〜ハノイ間ができ、関西方面の方はずっと楽になります。
また、2月28日の集いは延期して、4月24日(土)2時〜富士国際旅行社の会議室で、「今まで行った方&これから行きたい方の集い〜横井久美子最新ベトナム報告〜平和村を訪れて」を行います。どうぞ、ご参加下さい。最新のベトナム事情をご報告できるように、ベトナムにいってきます。

横井久美子
2004年2月20日

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