Kumiko Report 3/1/2005 |
ひとミュージアム 長野市の「ひとミュージアム上野誠版画館」で歌いました。ベトナム解放30周年を記念して、ベトナム旅行をするための学習会という企画で、スライドなどを使ってベトナムの話を多くしたライブになりました。ベトナム旅行に参加されない方も多く参加され、みなさん一緒に歌っていただいてとてもいい雰囲気でした。 雰囲気が良かったのは、もちろん参加された方の良さもありますが、会場がとても素敵だったのです。「ひとミュージアム上野誠版画館」は、反戦・反核をテーマに創作活動を続けた版画家故上野誠(1909〜80)の作品約250点などを所蔵する美術館で、館長の田島隆さんが、自宅の庭を開放して建てられたのだそうです。 私は、調子に乗って、またまた休憩なしで2時間歌って、花束をもらってホッとしていたのですが、最後に田島館長がご挨拶され、私の後ろのケーテコルヴィッツの版画を紹介されました。私はビックリ! 開演までほとんど控え室にいたこともありますが、気付かなかった自分の無知を恥じました。「戦争入門」を歌ってヒットラーの時代、ベルトルト・ブレヒトの仕事について話していたのに!です。 ケーテ・コルヴィッツ(1867〜1945)は、ドイツの生んだ女性版画家・彫刻家で、ナチス支配下のドイツで、投獄こそされませんでしたが、その版画の出版や展覧を禁じられた芸術家です。私は彼女についてそれほど深く知ってはいないのですが、その版画がこのミュージアムにあるとは! ケーテ・コルヴィッツの名前が出ると私は、ローザ・ルクセンブルクを思い出します。ローザ・ルクセンブルクは、ケーテ・コルヴィッツより4年遅く生まれ、1919年、47歳で虐殺されたドイツの経済学者であり女性革命家で、そのほとばしる激しい生き方は、「ローザ・ルクセンブルク」(1985年)という映画にもなっています。 幾度も投獄され、それでもなお、「人間であることがなによりも大切です。人間であるとは、確固として明朗、かつ晴れやかであることです。そうです。どんなことがあっても晴れやかであることです」「世界はどれほど恐ろしいことがあっても美しいのです。弱虫や臆病者がいなくなったら、もっともっと美しくなるでしょうに」(ルイーゼ・カウツキー編『ローザ・ルクセンブルクの手紙』、川口浩・松井圭子訳、岩波文庫) と書いています。 今、この時代、再びローザの言葉は、私の心に響いてきます。「何があっても晴れやかに、何があっても恐れなく」(ローザ・ルクセンブルク) ケーテ・コルヴィッツの版画が私の歌とともにあったということが、偶然の出会いとは思えない長野市でのライブでした。 横井久美子 2005年3月1日 |
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