Kumiko Report 4/10/2005
裸足で歌う平和の歌姫

昨日の「第19回いちごフェスティバル」は、横井久美子フルメンバーで出演し、チョー楽しかった。第一部は、山田洋次監督が講演し、淡々と渥美清さんの想い出を語られた。950名の会場は満席。私は、2階の奥で聞いていたが、随所で笑いが起こり、寅さん人気はすごいなぁと感心。山田監督だから、寅さんだから、こんなに観客の反応がいいのかなぁ、私になったら帰る人がいるのでは、、、とちょっと心配。

山田監督の講演のあと、本当の主役の市古てるみ市議会議員が登場し、山田監督とトーク、そのあと、市古さんがご挨拶。15分の休憩のあと、私のコンサートというプログラム。19回も続いているフェスティバルのせいかこの流れがとてもスマートで感心。旧態依然とした集会づくりが多いなか、集会というと無料とか、信じられないような値段で、その結果、しわ寄せは、私達の方にくる。食べたり飲んだりするのには、数千円使うのに、どうして自分を磨く文化にはお金を使わないのか、と、いつも怒っているけれど、このフェスティバルはナント会費は2000円。このポリシイはスゴイ。多分、市古さんと支える方々がスゴイのでしょう。

さて、いよいよ私のコンサートがはじまるので、着替えをと思ったら、靴がない! いつも荷物は、アイロンなども一度出して点検しているのに。入れるのを忘れたのだ、ナンタルこと。赤いドレスに黒のブーツじゃね。騒いでもどうにもならないので、出演者以外、忘れた事実は内緒にして、いかにもという風に裸足のままステージに立つことにした。

山田洋次監督が終わってもほとんどの人が帰らず、客席は、男性も多いのに相変わらず反応がいい。川崎というと労働者の街というイメージはもう昔の話かと思っていたが、私は、客席のこの率直でダイナミックな明るさの中に、脈々と流れている労働者魂を感じた。私は、そんな客席の素晴らしい反応に支えられて、とてもとても気持ちよく歌った。

その上、裸足が良かった。靴をはかない安定感があるのか、足さばきが軽くてステージが自由に動ける。実際、動いていて、能みたいにステージの動きが優雅な感じがしていた。「災い転じて福となす」とは、このことか。これからは「裸足で歌う平和の歌姫」というキャッチフレーズにしようかな。「歌姫」というと、厚顔無恥で笑われるかもしれないけど、、、。

この「いちごフェスティバル」の主催者で、また、市古さんの後援会長は、私の敬愛する産婦人科医の野末悦子先生。野末先生は、最後の閉会のご挨拶で「横井さんは60代はゴールデンエイジと言っているけれど、70代はもっといいわよ」。帰宅したら「お疲れ様でした。いいコンサートをありがとう」と先生から留守電。その心配りに私は櫛田ふきさんを思い出した。

最近、歌うことが楽になった気が自分でする。昨日の舞台は、それが爆発した。きっと昨年、35周年コンサートを1年間やり抜いたという、とても大きな蓄積が余裕を生み出しているのだと感じる。私個人ばかりでなく、横井フル(安田さんはじめミュージシャンやスタッフ10名余でつくるコンサート)もチームワークがよく安定していて、このメンバーで素晴らしいステージができるという自信がある。これも、昨年一年間の大きな蓄積で出来上がった。

昨夜は、そんな力を十分発揮でき、充実したコンサートになった。でも、こうした満足感を持つことが出来たのは、やはり、素晴らしいお客さまの前で歌うことができたから。最後に、市古さんに花束をいただいて一緒に「歌って愛して」を歌っているとき、私は本当に幸せいっぱいでした。

横井久美子
2005年4月10日















写真 亀井正樹


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