Kumiko Report 5/12/2005
華麗なアオザイショー


国際平和友好勲章を頂いたその夜は、前夜文化祭典とおなじホーチミン市民劇場の前の舞台でアオザイショー。私は、前から3列目で見ていたが、目の前のオーケストラをバックにステキなライティングとスクリーンの映像のなか、たくさんのモデルが目の前を通り、グルッと一回りしてくるまでの時間のかかること。後ろは群集でいっぱい。どこまでステージが続いているか分からないほど大掛かりなショウで、あまりの華麗さに、ため息が出るほどステキでした。


やっぱりベトナム人は色彩感覚が優れていると感心した。また、デザインも、今までのアオザイにこだわらずいろんなデザインがあった。ただ、一つ変わらないのは、横の割れたドレスとパンツの組み合わせということ。私は、このショウの中心デザイナーであるミン・ファがすっかり気に入り、翌日、目抜き通りにあるドン・コイ通りにあるミン・ファのブティックを探し当てたずねたほどだった。

もし、こういう形でアオザイショーを見せてくれるなら、これはベトナム観光の目玉になると思ったけれど、多分これほどのショウは、30周年記念の一つだからできたのかもしれない。また、ショウには、モデルだけでなく、馬車が現れ、自転車やオートバイも10台位づつステージを走った。最後は、ナント両脇からウエディングドレスを着た花嫁花婿が乗った白のオープンカーが登場した。そして、子ども達が出て、ステージで鳩を飛ばし、フィナーレになった。(スポンサーがホンダだったのでできたことではあった)


この華麗なショウを観て一番感銘したのは、バックの大型スクリーンとショウの意外な組み合わせだった。スクリーンの映像の中には、29日と同じような戦争中の映像や、王朝時代の映像があり、ベトナム人の衣服の歴史が映されていた。目の前のショウの華麗さとミスマッチかと思うほど、みすぼらしいリアリティのある映像もあり、もちろんモノクロだったが、それが私には、いろんな意味合いが感じられ、ショウをいっそう奥深いステキなものにしていたように思った。


ドイモイ後の12パーセントといわれるホーチミン市の経済成長。その証であるかのようなホンダをスポンサーとしたこのショウ。この華麗さの裏にあるベトナムの苦難の歴史。この夜のアオザイショウは、単なるアファッションショウではなく、華麗さのなかにベトナム民族の哀しみが表現されていた。このことが意図的にこのショウに盛り込まれ企画されていたとしたら、やはり、ベトナムという国はすごい国だと思った。

一人の表現者として、悲しいテーマには、悲しい音楽を、明るいテーマには、明るい音楽をというパターン化からの発想の転換を迫られたように感じた。ベトナムのイベント作りからは私は多くのものを学んだ。この驚きは、後半の全国ネットのテレビ出演にもつながるのです。

横井久美子
2005年5月12日

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