Kumiko Report 6/1/2005 |
ついに終了!劇場連続コンサート 5月19日からはじまった「かわさきおやこ劇場」の低学年例会が、昨日終わりました。時には休日があったとはいえ、1000名近くのホールでのコンサートが8日間続きました。その上、相手は3歳から小学3年生。高学年例会(4年生から青年)はすでに何回か経験がありましたが、私にとってはこういう客席は、生まれて初めての初体験!私は、とても3歳からの子ども達の前で歌うという決心が出来ず、ずいぶん躊躇していたのですが、「横井さんの歌を若いお母さんに出会わせたい!」という劇場運動に人生をかけている私の敬愛する平木事務局長にラブコールされての舞台でした。 「子ども向けの歌を歌わなくてもいいんですか?」という私のためらいに「子どもは素晴らしい感性を持っているのよ。横井さんのすべてをぶつけて大丈夫!」と平木さんの声に励まされ、18回の事前交流会をし、5月19日、エポック中原からコンサートがはじまったのです。ジャジャーン! かわさきおやこ劇場に贈った歌「世界中の愛をあつめて」で幕があき、私はもちろん、安田さん、劉さん、杉田さんも気合を入れて演奏。でも、客席が騒がしい。親が持たせた防犯ブザーが鳴ったり、ゲーム機が落ちる音がしたり、叫ぶ子がいたり、、、。歌と歌の間にちょっとした「マ」があると「もう終わり?」と可愛い大きな声が聞こえる。私は、「もうすぐ終わるからもう少し聞いてね」と言う。もう参った。こうした客席は私にとって初体験。かなり動揺。 悪戦苦闘してやっと終了。プログラムは10分も予定をオーバーしたので、翌日は、「子どもには曲も長いから『私の愛した街』など2曲ほどカットします」と、主催者の方に言ったら「エーッ!削るなんて、そんなの後の人たちが聞けなくて可愛そう。今日はとてもよかったのに!」「もう終わり?というのはもう終わってしまうの?という意味ですよ」と慰めてくれる。安田音楽監督に助けを求めると、「いや大丈夫、このプログラムでやりましょう」と断固いう。 そーお、そうなら、もうこのプログラムでやるしかない!あの客席のエネルギーいっぱいの子ども達に負けてたまるか!と私は腹をくくったのです。さて、翌日から舞台が変わりました。逆境に強い私の面目躍如(?)です。とりあえず、「マ」があると「もう終わり?」の声が聞こえるので、「もう終わり?」と言えないように「マ」を極力なくしテキパキと進行。話して語る時間より、動きと音楽と視覚で勝負。幸い、照明チーフ自身が「東京国際フォーラムより時間があるので、いい照明になっている」という位ステキな照明。私も曲によってステージ上をアチコチ動き回って、今までにない舞台づくりを工夫。 その後のコンサートも、声の聞こえる客席もあり、びっくりするほど静かに聴いている客席もありでしたが、腹をくくったせいか客席の声が気にならなくなり、日々いい舞台になっていきました。 ハープ、バウロン、ボンボも使いましたが、子ども達の生活に「いちばん遠い歌』と思っていた「私の愛した街」と「戦争入門」も子ども達を惹きつけていました。3日目には、「おなじ空おなじ子ども」のリフレインの部分を子ども達が大きな声で歌ってくれて、その声を聞きながら泣いてしまいした。この澄んだ可愛い声を守るのは私たち大人の責任だと。「歌って愛して」では、もうみんな乗りに乗って「歌って、ウタッテ 愛して アイシテ」と大きな声で返してくれました。 コンサート後、ロビーに出ると、若いお母さんが「私はこれまで自転車に子どもを乗せている姿が恥ずかしくて、でも『自転車にのって』を聞いて、誇りに思っていいのだと思いました」とか、私に涙を見せながら「隣にいる子どもが愛おしくなり抱きしめました」とか、「以前、横井さんの歌を聞いた娘が、お風呂に入ると、あといくつ寝たら横井さんの歌が聞けるのと聞くんですよ」とか、また、私が帰ろうとすると、「帰っちゃダメ!」と抱きついてくる男の子とか、、、。 帰宅する時は、毎日、充実感と感動でいっぱいでした。なぜなら、小さい子どもを連れてこうしたコンサートに参加することは母親としてとても大変なことで、また、学齢前の子どもは、どのコンサートもお断り!こうしたコンサートができるのは劇場だからこそです。また、それ以上に私は、20代の普通のお母さんが劇場に参加し、「自転車にのって」で子育てを誇りに思い、「戦争入門」で「日本は着々と戦争をする国になっているのではないか」という私のメッセージを聞き、「おなじ空おなじ子ども」を子ども達とうたうことで、平和であってほしいという願いをもつ。日常の暮らしを更に大切にし「考えるお母さん」を作り出している。そう思うと、劇場はやっぱり凄いことをしている。そして、私も歌手として素晴らしい仕事をしていると誇りに思うのです。 今回、低学年例会を初体験して、この舞台に私を引き込んで下さったかわさきおやこ劇場の方々に感謝の気持ちでいっぱいです。それは、たくさんの初体験のコンサートが出来たという喜びと同時に、いやそれ以上に嬉しいのは、子ども達が「新しい横井久美子」を引き出してくれたからです。劇場の目標である「優れた舞台芸術を子ども達の生きる力に」に、また少し近づけたように思います。 来年5月、横須賀おやこ劇場、海老名おやこ劇場からも声がかかり、自信のなかった私は「かわさきが成功したら引き受けますね」と言っていましたが、大丈夫!マカセナサイ!です。 以下が今回の低学年例会で歌ったプログラムです。 世界中の愛をあつめて/あくび/私と小鳥とすずと/はちと神様/花が好き/死ぬのがこわい/なみちゃん/自転車にのって/MY SON/赤い椿と青いげんぼし/休憩(15分) 戦車は動けない/よみがえれ我が大地/げんげんばらばら/私の愛した街/戦争入門/アシンボナンガ/世界がもし100人の村だったら/おなじ空おなじ子ども/歌って愛して (アンコール)子ども/世界中の愛をあつめて 横井久美子 2005年6月1日 |
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