Kumiko Report 10/8/2005
ノーベル平和賞に想う

昨夕、今年のノーベル平和賞が発表され、国際原子力機構(IAEA)とその事務局長ムハンマド・エルバラダイン氏が受賞した。IAEAが「核エネルギーの軍事利用を防ぎ、平和目的のみに使われることに貢献した」ということが受賞理由で、「核の番人」であるIAEAが受賞したことは嬉しい。

しかし、残念でもある。今回、広島・長崎への原爆投下から60年の節目でもあり、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)と、山口仙二代表委員が受賞するのではという情報が流れ、期待していたからだ。

私自身、今年は、「にんげんをかえせ」を歌ったことをきっかけに、原爆症認定裁判への参加をはじめとして、被爆者や関係団体の活動を今まで以上に知る機会ができた。60年にわたって被爆の苦しみを背負いながら、世界に向って核廃絶を訴え続けてきた被爆者は、「世界平和の宝」である。原爆の生証人である被爆者と被団協がこの60年間果たしてきた役割に国際的な光(ノーベル平和賞)をあてて欲しかった。被爆者の実相から出発しなくて何が平和か、何が核廃絶かと、残念に思う。

ただ、被団協は、これまでにも何回もノミネイトされていて、被爆60周年の今年も受賞しなかったということは、日米の核政策の意向が平和賞にも反映されているのではないかと思う。日本政府はもとよりアメリカは、「原爆投下」を正当化し、認めたくないだろう。ノルウエーの数人によるノーベル賞委員会も国際的な政治力学から隔絶されているわけではないだろう。私たちは、少しばかり、「栄光」の夢を見た。

夢といえば、夢の夢は、私もノミネイトされた、スイスの女性団体による「草の根で平和のために活動する1000人の女性たちにノーベル平和賞を」であった。しかし、このホームページを見ると、出版、講演など国際的な活動を今後も展開していくようだ。日本では6人の女性がノミネイトされた。そのうちの一人である相馬雪香さん(日本のNGOの草分け的存在)は、10月3日の日経新聞の夕刊に、ノミネイトされたことも含めて紹介されていた。また、11月には、6人の一人、野村かつ子さん(日本の消費者運動の先駆者)のお祝いの会も企画されていて、私も出席する。

「1000人の女性たちにノーベル平和賞を」という企画は、草の根で活躍している人たちに光をということと同時に、これをきっかけに1000人の女性たちよ、今後、世界平和のために草の根でさらに頑張りなさいというエールだと私は理解している。因みに、今年のノーベル平和賞には、過去最高の199個人・団体が推薦されたそうです。

被団協受賞か?と、私たちは、「栄光」の夢を見たけれど、夢は、やはり、自らの手で勝ち取らなければ、と思わせられた。だから、これからも原爆症認定裁判を一つ一つ成功させ、CD「にんげんをかえせ」を普及しましょう。また、私自身に関しては、11月20日「人類は二度と戦争をするな!映像と証言と歌による告発ー今、ヒロシマ、ナガサキ、ベトナム」をよみうりホールを満席にして、「世界平和の宝」谷口スミテルさんをお迎えするつもりです。皆さまもぜひ、お出かけ下さい。

横井久美子
2005年10月8日

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