Kumiko Report 18/Nov/2016
二ヵ月ぶりのHP ⑤

11月3日(日)三島の郷 郷まつり

11月3日(日)、大阪府高槻市の障害者施設三島の郷で行われる「郷まつり」に呼んでいただいた。
朝10時から開催し、午後1時半に歌うということで音響のチェックもあり、前日から出かけた。

朝11時から3時まで、歌う楽校を終え、新幹線にのり、おいしい鯵スシをビールと共に食べた。そうだ、コンビニで買ったドーナツも残っていると思って食べたら、急に胃が重くなった。ちょうど胃の薬を持参していたので、水なしで飲んだら、薬がのどにつかえ、やっぱり水が必要と、トイレの飲み水ではありませんという水を飲んだ。

それからが悲惨だった。だんだん気持ち悪くなり、冷や汗が出て、とうとう、一つ空いていた隣の席の人に横になっていいですか?と聞き、横になった。ポリ袋に時々吐きながら。この状態では、豊橋の駅で途中下車した方がいいかなぁと思いながら。

30分ほど苦しんだらだんだん収まってきた。アイルランド、ワシントンと続く、このところの疲れかもしれないが、決定打は、クリームの入ったドーナツが悪かったのではないかと思った。でもその後はすっきりして高槻駅に着いた。長い人生の中ではじめての体験だった。



朝8時、車でホテルまで迎えにきてもらって、30分程で三島の郷に着いた。会場はすでに準備が進められ、サウンドチェックも準備万端。音響のミキサー担当の方が、「すみませんが僕ぎっくり腰になってしまって動けませんので」と言われる。「大丈夫、私もやったばっかりだから動かなくていいから」と。

他にもお手伝いの方がいっぱいいて準備OK。お天気もOK。三島の郷は、山々に囲まれとても落ち着いた場所にあり、施設も建て替えられたそうで、内部は廊下も広く、事務室のあたりは障子もあり、木造のステキな施設だった。




今回のタイトルを「おいで一緒に」とし、私のCDを何度も流して下さったそうだ。午前中の太鼓サークルや手話サークルの発表は快晴のもと進められた。太鼓も手話付きの歌もそれぞれ地元の先生がボランティアで指導に来て下さるのだそうだ。とても素晴らしい活動だと感心して見ていた。



午前中の行事が終わり、昼食をいただいた。所内でつくられたお弁当の豪華でおいしいこと。私は駅弁は嫌いだし、折ズメ弁当も好きではないけれど、これは、今まで食べたお弁当の中で味が良く一番おいしかった!

その後、1時半まで棟内観覧の時間。入所者の方の書道の作品が壁に並んでいた。先生らしき人の作品もあり、名前を見ると乾千恵とあった。私はその名前に記憶があった。案内して下さった能勢先生に「この方のお母さんは私のファンだった方ではないでしょうか?」と聞くと、「きっとそうですよ」と言われた。

20年も前、書家として大成されている乾さんから「横井さんの歌を聴いて大きくなりました」という封筒に入った絵葉書を、コンサートでいただいたことがある。それは、ずっと私の机の上に置いてあった。なんという不思議!こういう場所でまた乾千恵さんに巡り合えるとは!



パネル展示や平和へのメッセージコーナーや作業展示販売もあり、私は草木染のスカーフをプレゼント用に買った。

さて、いよいよ午後の部。しかし、開始直前、雲が広がり、雨がポツポツ。風も出てきた。急遽大きなホールに変更し、音響も急遽、運びこんだ。新たな場所で音響のチェックもできず、すぐさま開催。音響のチェックのために前泊し、朝8時から準備したのに、あれは一体何だったの?という出来事だった。野外でのコンサートはこういうことがあるのが恐ろしい!



それでも、さすが先生たちの機敏なこと!私のファンというか友人には、障害者施設や支援学級の先生が多い。彼女たちを見ていつも思うのは、動作がとても機敏ということだ。今回もあっという間に会場つくりが行われた。



ホールいっぱいの人たちの中で、おいで一緒に、ぞうさん、私に人生といえるものがあるなら、里の秋、大きな歌、母に贈ることば、など1時間歌った。先生方が事前にCDを流して下さったせいか、みんな一緒に声を出して歌ってくれた。皆さんの中に入っても歌った。たぶん、野外でするより、集中してヨカッタと思う。

終了後、皆さんから贈り物をいただいた。

入所者がつくられた陶器、そして、くち
なしの実で染めた黄色いスカーフ。

ステキです。ありがとうございました。

私はこのところ、障害者施設を襲った
「相模原殺傷事件」のことが頭から離
れない。

障害者というのは、一見、五体満足な
私たちと遠い存在と思ってきた。

しかし、五体満足な人間も必ず老い
て障害者になってから死んでゆくのだ。


障害者問題をいろいろ考えていた時に、「三島の郷」に呼んでいただいた。更に、この問題を自分と自分につながる人たちの問題として考えていきたい。

40年前に私の歌を聞いて下さった方が、「今年は横井さんを呼ぼう」と呼び掛けて下さったそうだ。そんな形で私の歌が人の心のどこかに残っていることが嬉しい!

実行委員長でいろいろお世話下さった山口さん、そして、能勢さん、ぎっくり腰のミキサーさん、まつりを成功させて下さった先生方ありがとうございました。

横井久美子