Kumiko Report 1998
ニューヨーク、アイルランドに行ってきました

この時期航空運賃が一番安い(NY、成田往復全日空7万2400円、NY、ダブリン往復エアリンガス73380円、共に税込み)ので、2年振りにNY、Irelandに行ってきました。(因みにエアリンガスは季節に関係なく日本で買うと安いチケットがありますよ)


 アイルランド リマリック大学の裏からみたシャノン川

リマリック市はアイルランド第4の都市で、「歴史と伝統溢れる町」とガイドブックには書かれていたけれど、ダブリンから列車で2時間半、見渡すかぎりの牧草地を走り抜け着いた終着駅は、少々うらぶれた雰囲気を漂わせた、小さな町でした。
ひとまずタクシーで大学へ。大学は巨大で、機能的で、事務的で、町の雰囲気とかなり違和感がありました。文化庁の留学制度に挑戦し、秋からこのリマリック大学に留学しようかなと思って下見にきたのだけれど、落っこちている可能性のが高いのに、都会型人間のこの私がこの「田舎町」に住むには耐えらだろうか、いや耐えられるはずはないと、私は1泊しただけでダブリンヘ引き返してしまったのです。
但し、町を流れるシャノン川は雄大で素晴しく、1泊で帰るには心残りでした。



シャノン川から見たキング・ジョン城




ダブリンでは、何とかこの都会に住み、刺激を受けながら勉強と生活が出来ないかと、不動産屋3軒、大学など4校を尋ね歩き回った。
けれど現実は厳しい。
今アイルランドは、経済状況が良く、バブルと言ってもいいほど好況らしく、家賃をはじめ物価が上がっている。
因みにガイドブックで40ポンドと書いてあったホテルに行ったら90ポンドだった。(1ポンド=185円)

悲嘆に暮れ、疲れた私を慰めてくれたのは、ダート列車のサンデイマウント駅にある「チェスタービーチーギャラリー」だった。ここには唐の時代、玄宋皇帝と楊貴妃の愛の長編叙事詩を描いた「長恨歌」という絵巻物があり、これが素晴しく2日も通って眺めていた。といっても現実に変わりはなく、私は収穫もなくニューヨークに戻ったのでした。

ニューヨークでは「BIRDLAND」で秋吉敏子さんのジャズオーケストラを聞き、握手をしてもらい、ミュージカル「王様と私」「ラグタイム」を見、メトロポリタンオペラでキリテ・カナワ主演の「カプリッチオ」をみてご機嫌でした。



特に昨年11月からはじまった「ラグタイム」は事前の空前の宣伝費225万ドルをすでに回収し、なお入場者の記録を伸ばしている評判のミュージカルでした。
これを上演している「フォードセンター」のある42丁目は、売春婦やヤクの売人やボロボロのすぐつぶれる劇場などがあった所ですが、アメリカ経済の好況を反映して、フォードなどアメリカの大企業が不動産開発に乗り出し今や文化的スポットのとして有名になっています。
湾岸戦争の時は火の消えたようになっていたブロードウエイも10年前と比べても40パーセントも入場者数が増えているということです。
それにしてもアメリカの1年に映画を初め劇場に足を運ぶ人は40億人、劇場人口は平均1年に10回。、それに比べ日本の劇場人口は1年に1回。
私たちライブで生きる人間にとってこれは、大変な悲しいことで、またまた厳しい現実の世界に戻され帰国したのであります。

1998年1月

一覧へもどる