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時代の風のなかで、共に生き、歌い続けて35年  1969年3月、ギターを手に函館労音（当時）に招かれ、函館ドックの職場コンサートからソロ活動を開始して以来、2004年で35年になります。歌いはじめた70年代は、国際的には、ベトナム侵略戦争に抗する民族解放運動が発展し、国内でも平和と人権を求める人々のたたかい、女性の社会進出がうねりのように広がった時代でした。文化的な動きも高揚し、私もその中で歌っていました。しかし、20周年記念コンサートをおこなった1989年は、昭和天皇に続く美空ひばりの死、ベルリンの壁の倒壊、翌90年には、バブル経済が崩壊し、時代は大きな転換期を迎えていました。私自身も大きく揺れ動き、自分自身を見つめていました。そして、1991年の「ただの私に戻る旅」以後、再度、「人々の生活の場に飛び込もう！」と、1992年から200回以上に及ぶミクロライブ「春秋楽座」を開催し、また「じん肺」訴訟をはじめ、人権、環境問題にも積極的にかかわり、歌をつくり続けました。 1998年に、文化庁の奨学金にチャレンジし、アイルランドに留学したこともさらに新しい世界を広げ、翌年には30周年記念・帰国コンサートを開きました。 1999年から今年3月までの3年間、毎週、東京新聞（中日新聞）のコラムを執筆し、社会をより客観的に見る目を磨くことができました。また、昨年12月には、アメリカのアフガン空爆のもとで、「おなじ空 おなじ子ども」のCDを緊急リリースし、多くの方と熱い想いを共有することができました。 私は、この35年間に、「歌を必要とする人々のもとに歌を届ける」演奏活動をし、3000回に及ぶコンサートのなかで100万人近い人たちと出会い、その出会いの中から、100曲近い歌をレパートリーとして歌ってきました。それらの歌は、大きく分類すると、次のようになります。 1、働く女性、母親として、生活者の視点から生まれた歌。 「自転車にのって」「マイサン」「なみちゃん」「二人の夜」「手紙」「人生のはじまり」等。 2、人間としての権利、尊厳、正義、平和を求めた歌。 「ノーモア・スモンの歌」「夫へのバラード」「戦車は動けない」「赤い椿と青いげんぼし」等。 3、国際的な平和と人権を守る闘いや民族解放闘争の中で生まれた歌。 「私の愛した街」「ベンセレーモス」「アシンボナンガ」「ノーパサラン」「おいで一緒に」等。 4、人間の存在や人間と自然との関係を問いかける歌。 「私の孤独」「風の中のレクイエム」「我が大地の歌」「あなたとすごした街「金子みすずソング」等。 5、国内外の伝統的な歌。その他。 「ゲンゲンバラバラ」「アイルランドの子守歌」等。  これらの歌に共通しているのは、「ひたむきに生きる人間は素晴らしい」という人間賛歌であり、世界観です。しかし、これらの歌は、私が一人で生み出しものではありません。私の歌は、時代の風と、風を起こした人々から生まれたものです。横井久美子という歌手は、そうした、時代のなかでひたむきに生き、たたかっている人々の力、草の根からの「ピープルズパワー」によって育てられた歌手だと思います。 私一人の35年ではなく、たくさんの方々と共に生きた35年！ 今回私は、私のその35年全てをコンサートで表現したいと思っています。そして、戦争への道を歩もうとしている危険な日本にストップをかけ、21世紀を平和な世紀にするために、そしてなによりも私たち一人ひとりが輝いて生きていけるように、私たちの命を輝やかせるコンサートを、皆さまと一緒に実現させたいと思います。 |