Kumiko Report 1/16/2005
山は動く!

昨日は、かわさきおやこ劇場主催「2/20平和コンサート」ための事前交流会でした。新百合ヶ丘と溝の口の2ヶ所で行い、本番ステージでは、2回公演はしないのですが、交流会とはいえ、話して歌ってさすがに2ヶ所続けてするのは疲れました。でも、冷たい雨のなか子ども連れでたくさんの人が参加し、熱心に聴いていただきました。(小さな子どもたちのために託児室を設けて)

そこでの私が話した私の平和への想いもご紹介したいのですが、VAWW-net(「女性への戦争と暴力」日本ネットワーク)の会員である私は、12日に朝日新聞に報道され、13日にNHKの番組担当デスクの内部告発の記者会見について語らねばと思います。

私は、ニューヨークの「2000年世界女性会議」に参加し、そこで元朝日新聞記者であった松井やよりさんの元慰安婦問題に関するワークショップに出て、松井やよりというピュアな戦うジャーナリストにとても感銘を受けました。そして、VAWW-netに参加し、2000年12月に九段会館で5日間行われた「女性国際戦犯法廷」に参加したのです。

法廷は、感動、感動の5日間でした。私は、当時執筆していた東京新聞「本音のコラム」に、2000年の12月5日付「女性国際戦犯法廷」と12月19日付「判決」を書き、また、2001年12月11日付「ハーグ最終判決」(『ゆるゆるふっくり』にも掲載)を書きました。改めて「判決」を読み、あの時の感動が鮮やかによみがえってきます。

「女性国際戦犯法廷」をずっと取材していたNHKは、番組放映直前に内容をかなり改ざんして、1月30日に「問われる戦時性暴力」を放映しました。またその後、制作会社「ドキュメンタリージャパン」のこの番組の担当ディレクター坂上香さんからその改ざんのいきさつを聞く集会があり参加しました。VAWW-netは、2001年7月松井さんを代表としてこの改ざんに対し、NHKや制作会社に対し損害賠償を求め東京地裁に提訴しました。2004年3月、地裁はNHKの責任を認めず、制作会社にのみ賠償命令をし、VAWW-netは、東京高裁に控訴しています。

私は、会員でありながらこの裁判にはなかなか参加できず、松井さんの意志をどのように継いでいったらいいのかと申し訳ない気がしていたのです。17日は、高裁の口頭弁論が予定されていました。そこに、朝日新聞のスクープ、続いて内部告発者のNHKの長井担当デスクの記者会見でした。「山は動く!」と感動しました。本日16日付「赤旗」や「15日付「東京新聞」には、坂上さんの発言も載っていました。マスコミが動くということはスゴイ力だと改めて思いましたが、これも、地味に裁判を続け訴えていた団体があり、また、勇気をもって内部告発した人がいたからこそです。(長井氏の記者会見はインターネットでも見られます。http://www.videonews.com/asx/011305_nagai_300.asx

VAWW-netのメーリングリストでは、 「昨日から安倍・中川・NHKの反論攻勢が強まっています。長井さんの証言否定に大きな力が働いているように感じます。右翼も動き出すと思われ、長井さんの身の安全が心配です。彼を孤立させないよう、国内外の市民の声援を大きくし、真実を封じるな、真相を明らかにせよという世論を強めることが大事だと思います。」というメールが届いています。

今朝の東京新聞「新聞を読んで」にジャーナリストの斉藤貴男さんが次のように書いています。「(略)笑わせてくれる。齢(よわい)50にもなって親の七光。独力で何一つ成し遂げたこともないお坊ちゃまクンが、パパ譲りの地位を笠に着て、国家とやらを背負った気で有頂天の図は滑稽かつ不気味すぎやしないか。そんなものを”プリンス”などと崇め奉る側はもっと醜悪だが。実際この手の世襲政治屋が君臨し始めて 、言論・表現の自由の一切合財が息の根を止められようとしている。(略)」

明日17日は、東京高裁で口頭弁論行われ、その後報告集会がありますが、私は、DVD制作の作業でどうしても参加できずとても残念です。でも、この安倍、中川の政権党からの番組介入は、今後の日本の進路を左右する大事件だと思います。今、大きくマスコミで取り上げられているこの時期を、なんとか私たちの力にして、山を動かしてみせましょう!

横井久美子
2005年1月16日

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